ISMTE 2016 Asian Conference参加報告

こんにちは。ただいまシンガポールにてリモートワークをしている、導入サポートエンジニアのKikuでございます。
去る4月4日~5日にシンガポールのNovotel Singapore Clarke Quayで開催されたISMTE 2016 Asian Conferenceに参加しましたのでその様子をご報告します。

ISMTE2016参加報告

(会場から望むシンガポールの景色)

ISMTE 2016とは

ISMTE(International Society of Managing and Technical Editors)とは、2007年に設立された、世界中の学術ジャーナル編集者にネットワークを広げる機会を提供し、その専門性を高めることを目的にした国際学会です。ISMTE 2016 Asian Conferenceは初めてアジアで開かれるISMTEの年会で、学術誌の査読や編集業務、出版や倫理に関する最新の知見を、それにかかわる専門家が発表し議論する場となりました。

アジアで初開催

第一回のアジア開催にもかかわらず、参加者は110名を上回りました。参加者の多くは世界各国のジャーナル編集者で、その次に主要連携システムやサービスのベンダーでした。
普段持ちつ持たれつの関係で研究成果を世に広めるそれぞれの立場の人々が、直接コミュニケーションをとることによって、編集出版やシステム開発のヒントを得ることができました。
具体的には、キーノートパネルではPLOSから、現在最も直面している「研究不正」についての情報共有がありました。剽窃、ねつ造、データの改ざん、オーサーシップの売買、二重投稿といった研究不正もあれば、推薦査読者の偽装とその管理の不行き届きといった「出版不正」も日常茶飯事とのことです。
PLOSは対策として、推薦査読者制度の廃止や、不正ケーストラッキング専門チームの設立、不正検知ソフトの強化を実施し、投稿・査読に関与するすべての人間のORCID iDを必須とする方針を固めました。しかしなによりも、学術コミュニケーションにかかわるすべての人間が研究倫理・出版倫理の知識も意識も高めなければなりません。

ISMTE2016参加報告

(会議の風景)

第一回の開催ということで出版倫理のケーススタディが主でしたが、他のセッションでは、各システム・サービスベンダーからサービスの概要と必要性、それから最新機能の紹介がありました。ORCID、Altmetric、CRediT taxonomy、Crossref、Editorial Manager、ScholarOneや著者向け出版サービス各種の代表者がそれぞれ紹介していました。
また、世界各地のOpen Accessを巡る状況やOpen Accessから発展したOpen Dataの動きに関する話題が多く、今後の進展に注目です。

注目のセッション

わたしは出版社様や学協会様に独自のジャーナルプラットフォームの導入を手助けする業務を担当しておりますので、今回のプログラムの中ではプラットフォーム移行の体験談のセッションに最も注目していました。
アメリカの大きな学会とシンガポールの出版社の苦労話やアドバイスなど、翌日からの業務に活かせる話を多く聞くことができました。100人以上の参加者の前で挙手して質問するのはとても緊張しましたが、普段聞けない相手に質問できるチャンスでしたし、勇気を出したことで逆に勇気をもらえることになりました。また、普段業務を通して利用している各サービスの代表者に挨拶して直接会話ができてとても光栄に感じるとともに、自分もアジアの代表として学術界を盛んにしていかなければならないという使命感を強く覚えました。

ISMTE2016参加報告

(プールサイドでのレセプションの風景)

参考:ISMTE公式サイト